斉藤畳店の
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畳は直接、肌に触れます。ですから肌触りはとても大切。そして、
心地良い肌触りには、自然の素材がおだやかでピッタリ。さらに、
肌に直に触れるんですから、当然 安全でなければなりません。
なので当店では、作り手の顔の見える、キチンとした安全が確認できる素材をご用意しています。
しかし・・・
人に優しいという事は、カビや虫にも優しいワケです。
だからといって、カビや虫を我慢して畳を使ってもらうわけにもいきません。
それでも、せっかくの材料を薬漬けにしてしまっては意味が無くなってしまう・・・
こんなジレンマに悩み、人に対して安全でいて、カビや虫の発生を抑える方策を
あれこれ探しました。そして、現時点での結論としては・・
結論
○ 虫については・・・畳の中で異常繁殖しないようおさえる
↓
人に対して安全な防虫紙を施工する
○ 畳のカビについては・・・お客様にお部屋の環境を整えていただいて
カビの発生を抑えてもらう
↓
適切なアドバイスをさしあげる
となりました。
ご説明します
まず虫です。畳につく虫は色々いますが、外から来る虫を追い払う方法としては 防虫剤がありますが
必ずお部屋の空気を汚しますので、お客様の健康を害する恐れがあり、おすすめできません。
また、小さい生き物は卵も極めて小さく、風に乗って飛んでくるようなサイズです。
例え畳を熱処理しても、持ち運び中やお使いになっている間にくっついてしまうわけで、
完全に卵のついていない畳なんて現実にはありえません。
(これは、カビの胞子(カビのタネのようなもの)についても同じです)
なので、虫に対してできる事は、
畳を作る際に安全な防虫紙で畳床をくるみ込み、後々の異常発生を防ぐ事
となりました。
続いてカビに対してですが、こちらの方がやっかいです。
カビの胞子は空気中を漂い、落ちた場所に栄養(畳)と水分(湿気)と温度(日本の夏の気温)があれば
どこでも発生するからです。 ではどうすれば良いのか?
それは、日々のお手入れ です。
日常のお部屋のお手入れこそがもっとも効果のあるカビ対策なので、これは
お住まいになっているお客様にしかできません。
そこで、どういう事をすれば良いのか?を、適切にアドバイスさしあげる事が
畳店のできる事だ、と考えました。
ではお話を進めていきます。
カビと畳
安全・確実な畳のカビ対策
カビの予防は
☆ 最善策 お部屋の湿度を下げる
☆ 次善策 お部屋の空気が動いているようにする
カビ退治は
☆ アルコール消毒液でお掃除
これです!
カビの予防
カビは 乾いているところには生える事ができません
除湿機、エアコンなどでお部屋の湿度を下げれば生える事ができません
※ 温度は下げすぎてしまうと結露する事があり、湿気を増やす事になるので
冷やし過ぎにご注意ください
しかし、エアコンがない部屋なので・・・とか、除湿機がない、という場合は
お部屋の空気が動いているようにして下さい
扇風機を首振りで動かしておけば良いです。
電気代もあまりかかりませんので家計にもやさしいです
空気が動いているとカビは菌糸をのばせないようです
フスマや障子、部屋の扉などを少し開けておくと部屋の隅も空気が動きます。
お掃除する事でも空気は動きますし、生え始めたカビを取り除く事になり
予防につながります
エアコンや除湿機で湿気を取りながら
扇風機で空気を動かせば最良です!
※ご注意 空気を動かすといっても、湿気の強い日に窓を開けて外気を入れてしまうと、
逆に湿気を取り込んでしまいますので、晴れた日で湿度が低い時間
( 昼から日暮れまで ) を選んで風を通してもらうのが良いです
湿気を集めるパックのような商品では部屋の湿度を下げるには
大量に置いて、頻繁に交換しないとならないので経済的にきびしいと思います
除湿機を使ってみるとわかりますが、一晩で1リットルぐらいは溜まります
カビ退治
出てしまったカビを退治するのはアルコール消毒です
濃度 80% 前後の物をたっぷりと吹付けてカビを殺して、やわらかいもので
拭いてもらうのが良いです
20%ほど水分が入ってますので、拭いた後、扇風機で風をあてて乾かして下さい
私の経験上、消毒アルコールはシミになりません
※ ご注意
カビで畳おもてが変色している事があります
ジェル状のものや、混ぜ物が入っている品、アルコール濃度が低い品は
おすすめできません シミが心配ですし、消毒後に残る水分も多いと心配です
※ アルコール消毒はカビ退治であり、予防には全く効果ありません
予防は上のような対策を
やってはいけないのは水拭きです カビは水では死にません
拭いて見えなくなっても残ってますので 水分を得てさらに成長してしまいます
漂白剤を薄めたものは、濃さが問題で 薄いと殺す力が弱く、濃いと
漂白の効果でムラになってしまう心配があります
さらにほとんどが水なので、残る水分も大問題 シミの原因になりかねませんし
水分がカビの成長を手助けしてしまいます
効果 と 不確かさ を天秤にかけると、ちょっとおすすめできません
お酢が良いと言われますが疑問です お酢の酢酸に殺菌効果があるとの事で
そう言われているようですが、カビと細菌は別物で、殺カビ効果はというと
ちょっと疑問です
それより残る水分と、アミノ酸や、モノによっては糖分などが入っている事もあり
逆にカビの養分となってしまう事も考えられますしシミの原因になりかねません
おすすめできません
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掘り下げていきます
よく日本は、「温帯」の気候帯に属する、と言われますが、梅雨の季節から夏の間は、
高温多湿の「亜熱帯」気候帯に近いモノがあると言われています。
そんな中、カビの胞子は空気中に漂って、どこにでも飛んでいますので、胞子が落ちた場所が
有機物で養分があり、かつ、20℃を越える気温があり、適度な湿り気があれば、どこででも繁殖を始めます。
これを防ぐためには次のような方法が考えられます。
1, 胞子の侵入防止 → 無菌室のような環境を作らないとダメですので現実的ではありません
2, 温度の管理 → 部屋の温度を25℃以下に保つと、ある程度の繁殖は抑えられるようです
3, 湿度の管理 → 部屋の湿度を80%以下に保つと、ある程度の繁殖は抑えられるようです
4. 栄養を与えない → 畳(イ草・ワラ・綿・木材等)そのものが栄養分となるので防ぎようがありません
5. 菌糸を伸ばさせない → カビは、空気が動くだけで菌糸は伸ばせないようです(掃除・通気・換気)
6. 防カビ剤で抑える → 薬剤の効果はだいたい3ヶ月程度。さらに安全面では疑問が残ります
考察
カビの発生を防ぐ為に薬品を使っても、効果の持続性はせいぜい3ヶ月程度のようですし、
直接肌に触れる畳ですので薬品を使わないに越したことはありません。
では、安全にカビの発生を抑えるにはどうすれば良いかを考えますと、
お部屋の温度と湿度のコントロールをする事と、物理的な退治(掃除・換気)が有効だと思われます。
これらは、日々、お住まいにいらっしゃる方でないと行うことが出来ません。
つまり、安全に確実にカビをおさえるには、
お家の方に、お部屋の環境を適切に管理していただくのが
もっとも良い、と思うようになりました。
このように考え、最初の結論にいたりました。
虫と畳
日常生活の中での虫さされ
普段の生活の中で、虫さされの原因になる生き物は色々います。
何が原因なのかを突き止めないと、虫さされは解決できません。
そこで、どんな場所にどんな生き物がいるのかをピックアップしてみました。
人を刺す虫 あれこれ
家の外で刺される事が多い虫
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蚊 ブユ アブ クモ ムカデ アリ ハチ
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ダニの一部 ( マダニ ツツガムシ ) 草むらなどを歩いた際に身体に付いてきます
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ノミ ペットを飼っていなくても、野良猫などの住んでいる場所でたかられる事があります |
蛾の仲間 (成虫) ドクガ チャドクガ イラガ (羽や身体に毒毛針があります)
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毛虫のなかま イラガ ・ ドクガ 等 (身体に毒毛針があります)
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※ 蛾と毛虫は、さなぎやマユにも毒毛針があり、抜け殻などを触ってもかぶれるような
症状が出るそうです。また、毒毛針は空気中にも舞い上がりますので、虫をつぶしたりした
際には、思った以上に広い範囲まで飛び散り、被害が出る事があるようです。
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体液が皮膚につくとかぶれる虫
アオバアリガタハネカクシ アオカミキリモドキ マメハンミョウ
※ つぶした虫の体液が身体につくとかぶれるそうです
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家の中で刺される事が多い虫
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ノミ
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ペットを飼っている場合
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ダニの一部 ( イエダニ サシダニ類 )
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ネズミや野鳥につくダニ 身近に巣などがあると刺される事が
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ダニの一部 ( ツメダニ )
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コナダニなど小さなダニを食べる ちょっと大きめのダニ
小さなダニ類が異常発生したあとに出る
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アリガタバチ
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シバンムシという小さな甲虫が異常発生している場合
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ナンキンムシ トコジラミ
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現代ではあまりみかけない
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シラミ
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プールや銭湯などで、人からうつされる虫
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原因の特定
以上のように、色々な場面に原因となる色々な生き物がいます。
そういう中から原因を特定するためには、症状が出る前にどんな過ごし方を
されたのかを思い出して目星を付ける事になります。
ただ、ここで重要なポイントがあります。
それは、発疹やかぶれ、かゆみといったさまざまな症状は、虫の毒素に対する
身体のアレルギー反応ですので、刺されてから症状が出るまでにしばらく時間が
掛かる事です。
つまり、原因を探るために「どうやって過ごしていたか」、を思い出す際には
症状が現れる2〜3日前までさかのぼって、出掛けた場所や行った作業などを
思い出す必要があると言うことです。
原因を特定するために記憶が頼りです。思い当たる場面をみつけて、次には
被害を未然に防ぐようにしたいです。
では、この後は 代表的な虫について説明を書きます。
畳に関する虫はいくつか挙げられますが、もっとも問題視されています「ダニ」についてです
「ダニ」類は、実はとても身近な生き物で、世界中に20000種類以上いると言われています。
「ダニ」は日頃、人の生き血を吸う悪者扱いされていますが、実はヒトを刺すのは
ほんの一握りで、積極的に血を吸うのは数種だけのようです。
ちょっと表にしてみましょう。
●吸血性のダニ
名前 |
体長 |
特徴 |
マダニ |
3mm位 |
森林・山野に生息。ほ乳類全般に寄生する。
ワンちゃんが お散歩の時に食い付かれる事があります。 |
トリサシダニ
スズメサシダニ
ワクモ |
0.5mm位 |
主に鳥類に寄生するダニ。鳥の巣があると
宿主が死んだり巣立った後に人の住まいに迷い込んで人を刺すようです
|
イエダニ |
0.6mm位 |
ねずみに寄生するダニ。
ねずみがいると、身体や住みかなどから人の住まいに迷い込んで
人を刺す事があるようです |
シラミダニ |
0.2mm位 |
昆虫に寄生するダニで、以前は、養蚕業者さんが
カイコからうつってきたダニに刺される事があったようです。 |
ツツガムシ類 |
0.2mm位 |
河原や草原といった開けた場所に生息するダニの種類で、
幼虫が吸血するそうです。昔から恐れられていたツツガムシ病の
媒介をするそうです |
上の表を見てもらうとおわかりいただけるかと思いますが、
人の住まいには、自分から積極的に人の血を吸いにくるダニはいない、という事です。
しかし、屋根裏に鳥の巣があったり、家の中にねずみがいたりすると、
動物に寄生するダニに刺されてしまう事があるので、日頃から注意したいです。
また、アウトドアでの活動の際には虫除けスプレーを使うなど、吸血性のダニが
寄ってこないような対策が良いと思われます。
次に、それぞれ種類ごとのダニについて書いてみます。
●噛むダニ
名前 |
体長 |
特徴 |
ツメダニ類 |
0.4〜0.8mm |
屋内に住む小型のダニ類を捕食するダニ。吸血性ではないので自分から
刺しには来ない。ダニが押さえつけられたりした際に、苦し紛れに触った部分をかむ、という被害。
|
生態から考えると、ダニ自ら人に寄ってくるのではなく、ダニのいる所に人が来て、
触れられて苦しまぎれに噛む、という形のようです。
被害の痕も、直接肌に触れた部分に限られます。
その大きさと身体のつくりから、衣服の中に潜り込んでくるだけの移動力も
身体の強さもないと思われます。(つぶれてしまう)
●刺す、噛む、はしないが、アレルギーの原因となるダニ
名前 |
体長 |
特徴 |
チリダニ(ヒョウヒダニ)類 |
0.2〜0.5mm |
室内のホコリやカビを食べる小型のダニ。血は吸わない。 |
コナダニ類 |
0.5〜0.8mm |
カビや乾燥食品などを食べる。血は吸わない |
これらの小型のダニは、人を刺したり噛んだりはしませんが、
フンや、死骸が強いアレルギー物質となり、ダニアレルギーの人に悪影響をおよぼすそうです
考察
色々調べていくと、世間で言われている「ダニに刺された」、という話しも、
実は他の虫による被害なのではないか?と思うようになりました。
例えば、「ダニに刺された痕は刺し口が2つある」と言われますが、
体長が1mmもないダニの口が、目に見える刺し口を残すとは思えません。
また、一ヶ所刺してから、次へ移動するという仮定しても、
身体の大きさ、弱さから考えると、移動するとは考えにくいです。
(危険を冒して移動する意味が思い付かないです)
また、衣服の中まで入り込んでくる為には、かなりの身体の強さ(固さ)がないと
つぶれてしまいますので、ダニのような柔らかい身体をもつ生き物には無理ではないか?
とも思うようになりました。
ここで、刺される場所、身体の部位などからダニの種類を想像してみます
刺されの具合による判断 |
|
刺される場所 |
刺され具合 |
疑われる種類 |
室内 |
肌の露出部を広い範囲で |
ツメダニ類 |
室内 |
肌の露出部周辺を1〜2箇所 |
サシダニ類 |
野外 |
肌の露出部周辺を1〜2箇所 |
マダニ・ツツガムシ類 |
こうみると、畳に関わる種類は、ツメダニ、サシダニとなります。
それではどうすれば良いのかを考えてみます。
対策
ツメダニ、サシダニ、とも、発生場所を特定してお掃除するのが最も良いと思われます
ダニは決して強い生き物ではありませんので、掃除機に吸い込まれただけで死んでしまいます。
サシダニなどは、宿主がいなくなればそれ以上増える事ができませんので
数回の掃除でいなくなると思われます。
ツメダニは、まず、疑わしいものに直接、肌が触れないようにする事が
第一の対策だと思われます。同時に、それらを掃除機掛けするのが良いと思います。
それでも刺され続けるとすると、どこで刺されているのかを検討し直す必要があると思われます。
また、疑う品を替えてお掃除をしてみてはいかがでしょう。
また、刺す虫の種類も考え直す必要があるかもしれません。
衣服の中を刺されるとなると、中まで入り込める丈夫な身体を持った虫を疑う必要があると思います。
そうなると、ノミや南京虫(トコジラミ)が思い付きます。
ネコちゃんワンちゃんのノミ対策を行ったり、お部屋の掃除をして、狭い隙間などにエアゾールの
殺虫剤を噴霧するなどが効果的だと思います。
広い範囲を刺された場合、毛虫の可能性もあります。
毛虫を退治した後も毒の毛は空気中を漂い、肌につくと 広い範囲でかぶれます。
虫さされの相談
さされた部位の治療は皮膚科医で診てもらうのは当然ですが、
刺された虫の相談は地域の保健所の方が良いかもしれません。
皮膚科のお医者さんは皮膚治療の専門家ですが、虫の専門家ではありません。
刺された虫に対しては全くの専門外のはずで、適切なアドバイスが受けられるとは限りません。
その点、保健所は生活環境全般について扱いますので、
虫に対する知識をもつ職員がいらっしゃる事も多いです。
虫の死骸から種類の特定までしてくれる事もあります。
虫さされは原因がわからないとパニックになりがちですが
必ず原因があるものです
冷静に、ひとつづつ可能性をつぶしていく事が
解決の近道だと思われます
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